法律相談Q&A

お客様から寄せられたご質問

請求の際にやりがちな 【7つの失敗】 とは?

南青山法律事務所からのご回答・ご提案

①鍵の無断交換、②荷物の無断搬出、③脅迫行為、④張り紙・立て看板、⑤正当理由のない夜間早朝の督促、⑥正当理由のない勤務先への連絡、⑦居座り行為といった点が【やりがちな失敗】として挙げられます。

<解説>

賃貸経営で一番大変なのは、

空室家賃滞納

だと思います。

どちらも家賃が入ってこない、という点で、とても深刻な問題ですよね。

ただ、支払われていない家賃を督促する際に、
多くの方が犯す失敗があります。

そこで、今回はこの【失敗】について考えてみたいと思います。


1. 自力救済の禁止

一番致命的な失敗としては、

① 居室の鍵を無断で交換して入居者を閉め出す。
② 居室内の入居者の荷物を無断で搬出する。

この2点が挙げられます。

いずれも、自力救済=法律に明確に違反する行為として、

民事: 不法行為に基づく損害賠償
刑事: 住居侵入罪・器物損壊罪・窃盗罪

の対象となる可能性があります。

このあたりについては、

Q&A 『滞納者や長期不在者の部屋の鍵を勝手に変えて部屋から閉め出してもいいでしょうか?』
Q&A 『滞納者や長期不在者の荷物を無断で搬出して処分してもいいでしょうか?』

に詳しくご説明しておりますので、ご覧になってください。


2. その他の行為


このほか、よくありがちなミスとして、次の行為が挙げられます。

③脅迫行為
④張り紙・立て看板
⑤正当理由なく午後9時~午前8時までの督促
⑥正当理由なく勤務先に電話・FAX・郵送・訪問
⑦帰ってくれと言われても帰らない

まず、

③脅迫行為をしてはいけない=脅してはいけない

ということはどなたにも簡単にご理解いただけると思います。

いくら権利を持っているからといって、【脅す】というレベルまでするのは
やりすぎです。
したがって、【淡々と話し合う・諭す】というのが望ましいということになります。
 
 
また、よくありがちな失敗として、

④張り紙・立て看板

があります。たとえば、
「滞納している家賃を支払ってください。」というように、
通りかかった第三者にも家賃滞納の事実が知れ渡るような形での
張り紙は絶対にされないほうがいいと思います。

張り紙・立て看板をきっかけにトラブルになった、という相談は
相当数ありますので、くれぐれもご注意ください。

(ただ、「至急連絡ください。」というような形で連絡を求める趣旨の張り紙なら
問題ないと考えています。)
 
 
次に、

⑤正当な理由のない深夜・早朝の督促

についても、やはり不適当な督促行為に該当する可能性があります。

したがって、午後9時から午前8時までの督促については、
正当な理由が必要であると考えるようにしてください。


このほか、

⑥正当な理由なく職場に連絡する

というのもよくトラブルになります。

「何度自宅に訪問しても連絡が取れない」という場合に
家賃滞納の事実を秘して職場に連絡する、というのであればまだ
許される余地があると思いますが、
家賃滞納の事実が職場に知れ渡るようなやり方は必ずトラブルになります。
ご注意ください。


また、

⑦帰ってくれと言われたのに帰らない=居座り行為

というのも問題です。
 
 
これらの行為はいずれも【勢い余って】【思わず】やってしまいがちな行為です。

お気持ちはわからなくはありません。
家賃を支払ってもらえない場合に、オーナー様や管理会社のご担当者が
思わず熱くなってしまうのは当然だと思います。

ただ、そうではあっても、法律というルールが定められている以上、
そのルールに則って行動することが必要です。

  
3. 南青山法律事務所からのご回答・ご提案
 
したがって、

● 日頃から借主との間で信頼関係を構築しておく。顔が見える関係をつくっておく。
● 滞納額が多額になって払えなくなる前に、早期に対応する。
● 淡々と、相手を諭すように話し、説得する。
● それでも払えない場合は粛々と法的手続に移行する。

という、いわば【王道的なやり方】を粘り強く貫くほかないのではないかと考えます。
 
 
 
このQ&Aが少しでも皆さんのお役に立てば嬉しく思います。
 
その他のQ&Aについてはこちらをご覧下さい。) 



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【ご注意】
上記回答はあくまで一般的なケースについて述べるものですので、個別具体的なケースでの結論・成果をお約束するものではありません。
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