弁護士の活用の仕方としては、大きく分けると次の5つの方法があります。
この点、賃貸管理は法律と非常に縁の深い仕事ですから、「疑問に思ったことはすぐに弁護士に確認する」というように法律の専門家をうまく活用することが業務を行う上で必須だと思います。
とはいえ、うまく弁護士を活用して業務を行っておられる方がたくさんいらっしゃる一方で、「弁護士をどういう時にどう活用すればよいのかわからない」という方もたくさんいらっしゃいます。
そこで、賃貸管理に従事しておられる方に向けて、弁護士の活用の仕方をご説明いたします。
賃貸管理とトラブル
賃貸管理に携わっておられる場合、「水が流れない」、「コンロが壊れた」といった入居者の要望・クレームから、騒音・動物といった入居者同士のトラブル、さらに家賃滞納や退去時の原状回復など、大小問わず様々な問題に直面されることが多いのではないでしょうか。
特に管理会社の方は、オーナーと入居者の意見を調整しなければならないことが日常的にかなりの数ありますよね(自主管理されているオーナーの方も同じではないでしょうか。)。
賃貸管理にはトラブルがつきものだと思いますが、皆さんご存じの通り、こういったトラブルの解決に向けたプロセスには3つの段階がありますので、以下そのプロセスに添って説明します。
トラブルの解決に向けたプロセス
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1.方針を決める
賃貸管理にまつわる大小様々な問題に取り組まれる場合、担当の方は、まずは大まかに「方針」を決められると思います。
「どのような方向に話をもっていって、どこに着地させるか」ということですね。
たとえば、家賃滞納のケースであれば、とりあえず少し様子を見るのか、それとも積極的に督促作業を行うのか、色々と検討されると思います。
設備機器の故障であれば、今回のケースでは修理費を入居者とオーナーのどちらにどういった形で負担してもらうのか、といった具合です。
大まかでいいので、最初にまずこの「方針」を決める。
これがトラブルに適切に、かつスムーズに対応をするために必要となります。
ここで、上手い方はすぐに弁護士に電話をして、「法律上なにができて、なにができないのか。」、「管理会社やオーナーにはどういうリスクがあるのか。」、「どういう方向で解決することが適法かつ適切なのか。」といったことを確認されています。
優秀な方、優秀な管理会社ほど、事前にリスクを確認・把握してから方針を立てられています。 -
2.話し合いを行う
次に、様々な検討を経て決められた方針をもとに、オーナーと意見を調整された上で、入居者と「話し合い」を行われると思います。
たとえば、家賃滞納のケースであれば、いつまでにいくら支払うのか、といった点について話し合いをされると思いますし、場合によっては念書等を作成されるのではないでしょうか。
設備機器の故障であれば、仮に故障の原因が入居者の誤った使用方法にある場合は、入居者に修理費用を全額負担してもらう方向で話し合いをされると思います。
多くの場合、この「話し合い」で問題はほぼ解決すると思いますが、ここで上手い方は、話し合いの結論が法的に問題ないか弁護士に相談されたり、念書をつくる場合はその内容の確認を弁護士に依頼されたりしています。 -
3.法的手段をとる
ご存じの通りトラブルのほとんどは話し合いで解決するとはいえ、たとえば家賃滞納のケースで「入居者が約束を守らない」とか「入居者とそもそも話し合いができない」ということも時には起きますよね。
このような場合にそのまま放っておくと、いつまでたっても家賃が入らないという最悪の事態に陥りかねません。
設備機器の故障の場合も同じです。話し合いがまとまらない場合にそのまま放っておくと、(本来なら入居者負担であるにもかかわらず)結局オーナーが泣く泣く出費するということになってしまいます。
そこで、「話し合いでは一向に解決しない」という場合に、泣き寝入りすることをよしとしないのであれば、広い意味でなんからの法的手段をとる必要があります。
こうなると、代理人として自分の代わりに交渉に取り組むことを弁護士に依頼されたり、裁判などの法的な手段に着手することを依頼されたりする必要が出てきます。
段階に応じた弁護士の活用
以上をまとめると、トラブルの解決に向けたプロセスのなかで、各段階に応じて、次のような弁護士の活用の仕方があるということになります。
もちろん、トラブルが発生した場合であっても、「特に専門家に相談したり、サポートを受けたりする必要はない。」ということでしたら、弁護士をご利用いただく必要はありません。
しかし、
○ 管理会社やオーナーにどういうリスクがあるのか事前に把握したい
○ 適切に対処したいので、専門家に相談しながら進めたい
とお考えの場合は、弁護士を活用されるとよいと思います。
なぜなら、専門家を活用することで、
○ 法律上なにができて、なにができないのか
○ どういうことをすると法律に反するのか
○ どういう方向で解決することが適法かつ適切なのか
といったことをきちんと事前に理解した上で業務を行うことが可能となるからです。
特に最近は、権利意識が強く、インターネット等で知識武装している入居者の方も少なくありません。
こうした入居者のなかには、こちらが違法な行為をしてしまった場合に、「損害を賠償しろ。」とか「家賃は払わない。」と強硬に主張する方もいらっしゃいます。
そこで、「知らず知らずのうちの法律に反する業務を行ってしまった。」、「それによってトラブルが拡大した。」ということがないようにご注意いただければと思います。
情報を集める・提供する
このほか、「賃貸管理に関する知識を増やしてスキルアップしたい」、「最新のトラブル実例や裁判例を学びたい」とお考えであれば、弁護士の主催するセミナーに参加されることもおすすめです。
実際、当事務所の主催するセミナーには、管理会社担当者や、自主管理に取り組んでおられるオーナーなど、勉強熱心な方が多数参加されています。
また、「賃貸管理に関する有益な情報を提供してお客様を喜ばせたい」という管理会社の方は、弁護士にセミナー講師を依頼するという方法もあります。
もちろん、弁護士によっても得手不得手があり、「話がつまらない」、「専門用語が飛び交ってよくわからない」という弁護士がいることも確かですが、当事務所代表の青木は、北は北海道から南は鹿児島まで、毎年全国各地で管理会社主催セミナーに講師として登壇しており、「話がとにかくわかりやすい。」、「具体的でおもしろい。」、「これまでの弁護士セミナーとは全く違う。」と好評を博しております。
全国賃貸住宅フェアを含め講師経験は豊富にございますので、安心してご依頼いただければと思います。