お客様から寄せられたご質問
連帯保証人の責任とは?
南青山法律事務所からのご回答・ご提案
「たとえ貸主が借主に対して一切督促をしていないとしても、貸主が連帯保証人に請求した場合には、連帯保証人は貸主に対して支払わなければならない。」-これが連帯保証人の責任です。
<解説>
最近家賃滞納が全国的に増加しているという話をよく聞きます。
この家賃滞納が発生した場合に、やむなく滞納家賃を連帯保証人に請求したら、連帯保証人から
「どうしてまず私に請求するんですか。」
「まずは借主に請求してください。」
と言われてしまうケースが少なくないそうです。
これは、法律的には完全に誤りで、連帯保証人の責任を誤解していることから生じている発言なのですが、こうした誤解を抱いている方が少なくないようです。
そこで今日は、基本中の基本ですが、【連帯保証人の責任】について改めて確認していきたいと思います。
1. そもそも連帯保証人とは
そもそも「連帯保証人」とはなにか。
緻密さよりもわかりやすさを重視しておおざっぱに言えば、連帯保証人とは
○ 賃貸借契約に基づいて借主に発生する債務を
○ 借主と 【同じ立場で】 負担する人
その人のことを連帯保証人といいます。
2. 連帯保証人の責任とは
そうすると、たとえば借主が家賃を滞納した場合であれば、
滞納家賃を【借主と同じ立場で】支払う義務
を連帯保証人は貸主に対して負っています。
また、借主であった方の物件の使い方があまりにまずく、居室の原状回復費用が大幅にかかり、敷金の範囲を超えてしまった、というような場合には、
足りない分を【借主と同じ立場で】支払う義務
を連帯保証人は負っています。
ここでの重要なポイントは、【借主と同じ立場で】 という点です。
これはどういうことかというと、
1 たとえ貸主が、借主に対して一切督促をしていないとしても、
2 貸主が連帯保証人に請求した場合には、
3 連帯保証人は貸主に対して支払わなければならない。
ということです。
つまり、連帯保証人は、
○ 「まずは借主に請求してください。まず支払うべきは借主でしょう。」
○ 「借主はここに不動産を持っていますよ。ここに銀行口座も持っていますよ。ここに勤めていますよ。まずは借主のこれらの財産を差押えするなりするべきでしょう。借主から回収できない時に初めて、私が責任を負うべきはずです。」
といったことは一切主張できないということなんです。
これは非常に重要なポイントですので、絶対に外さないように改めて確認をお願いいたします。
したがって、貸主としては、
A 借主から回収できると思えば借主に請求する。
B 連帯保証人から回収できると思えば連帯保証人に請求する。
このどちらでも好きな方を選べる ということになります。
「必ず借主から請求しなければならない」ということではないんですね。
3. 単なる保証人と連帯保証人の違いとは
ちなみにこれが、「連帯」保証人ではなく、単なる「保証人」にすぎないのであれば、話は大きく違います。
単なる保証人にすぎないのであれば、
○ 「まずは借主に請求してください。まず支払うべきは借主でしょう。」
○ 「借主はここに不動産を持っていますよ。ここに銀行口座も持っていますよ。ここに勤めていますよ。まずは借主のこれらの財産を差押えするなりするべきでしょう。借主から回収できない時に初めて、私が責任を負うべきはずです。」
といったことを主張できます。
なぜなら、単なる保証人にはこうした主張が法律上認められているからです。
しかし、【連帯保証人】は単なる保証人とは違います。
こうした主張をすることはできない、と法律上明確に定められています。
4. 南青山法律事務所からのご回答・ご提案
以上から、、繰り返しになりますが、
1 たとえ貸主が、借主に対して一切督促をしていないとしても、
2 貸主が連帯保証人に請求した場合には、
3 連帯保証人は貸主に対して支払わなければならない。
これが連帯保証人の責任ということになります。
連帯「保証人」という言葉から、「借主から請求できない時に初めて請求できる」という誤解を持ってしまうことも少なくありませんが、そうではありません。
この基本中の基本を再度確認していただいて、万が一連帯保証人の方に請求される時は【自信を持って】話し合いに臨んでいただければと思います。
このQ&Aが少しでも皆さんのお役に立てば嬉しく思います。
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